
毎年秋になると、今年のボージョレー・ヌーボーをイメージしたキャッチコピーがテレビや雑誌をにぎわします。
「10年に1度の~」「今世紀最大の~」とか、ちょっとびっくりするような大げさなキャッチコピーを覚えている人も多いでしょう。「今世紀最大の~」ってコピーなら来年はどうなっちゃうの?ってねえ。
2020年ボジョレー・ヌーボーのキャッチコピーは?
ボジョレー・ヌーボーは「新酒」なので、その年のワインの出来を予想し試飲する位置付けのワイン。
表現が大げさなのでボジョレー・ヌーボーの時期になると話題になりますが、2020年のキャッチコピーはまだ発表されていないので、わかり次第お知らせしますね。
まずは、今年5月に発表されたボジョレーワイン委員会のプレスリリースを紹介しましょう。
世界全体が先例のない日々を経験しています。恐らく我々のこれまでの多くの習慣を変えてしまうほどの。しかしながら、ブドウの苗木はそんなことをものともしていない。成長しつづける様子はむしろよりいっそう愛すべきもので、早熟なブドウの収穫日を予感させます。おそらく 8 月後半になるでしょう。現時点では、早めに実が熟するという点で、2000 年や 2011 年と同様です。それらはよいヴィンテージであったし、今年もまた同様になるよう、ベストを尽くすつもりです。
現地の醸造関係者も、「今年のブドウの品質は良いから美味しいワインが期待できそうだ」と話していたので、とりあえずひと安心。

キャッチコピーは誰が作るの
結論から言うと、インパクトのあるキャッチコピーは、輸入元や販売業者が考えた宣伝コピーなのです。では一体このキャッチコピーはどこからきたのかというと、ボジョレーワイン委員会が発表した評価に基づいています。

たとえば、2019年のキャッチコピーは「バランスのとれた味で、適度な量と高い品質のワイン」でした。
どうやってこのコピーができたかというと、こういうわけです。
①ボジョレーワイン委員会が2019年の品質予想を「有望だが、生産者のテクニックが重要な年」とする
②東京にあるフランス食品振興会(SOPEXA)がこの品質予想を伝える
③日本の輸入元や販売業者が表現をわかりやすくアレンジ
④2019年ボジョレー・ヌーボーのキャッチコピーを発表
こういったことをずっと毎年繰り返してきたわけです。
少しでもワインを多く売りたいから、こういった大げさなキャッチコピーになるわけで、それもそのはず、日本の輸入量は世界で一番多いですから。
さて、日本のキャッチコピーとボジョレーワイン委員会の品質予想を振り返ってみました。
歴代ボジョレー・ヌーボーキャッチコピーを振り返る
どんな売り文句にしたらいいのか毎年悪戦苦闘しているみたいで面白いです。
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- 1983年「これまでで一番強くかつ攻撃的な味」
- 1985年「近年にない上物」
- 1992年「過去2年のものよりフルーティーで、軽い」
- 1995年「ここ数年で一番出来が良い」
- 1996年「10年に1度の逸品」
- 1997年「まろやかで濃厚。近年まれにみるワインの出来で過去10年間でトップクラス」
- 1998年「例年のようにおいしく、フレッシュな口当たり」
- 1999年「1000年代最後の新酒ワインは近年にない出来」
- 2000年「今世紀最後の新酒ワインは色鮮やか、甘みがある味」
- 2001年「ここ10年で最もいい出来栄え」
- 2002年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」
- 2003年「110年ぶりの当たり年」
- 2004年「香りが強く中々の出来栄え」
- 2005年「タフな03年とはまた違い、本来の軽さを備え、これぞ『ザ・ヌーボー』」
- 2006年「今も語り継がれる76年や05年に近い出来」
- 2007年「柔らかく果実味豊かで上質な味わい」
- 2008年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
- 2009年「過去最高と言われた05年に匹敵する50年に一度の出来」
- 2010年「2009年と同等の出来」
- 2011年「100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え」
- 2012年「偉大な繊細さと複雑な香りを持ち合わせ、心地よく、よく熟すことができて健全」
- 2013年「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」
- 2014年「太陽に恵まれ、グラスに注ぐとラズベリーのような香りがあふれる、果実味豊かな味わい」
- 2015年「過去にグレートヴィンテージと言われた2009年を思い起こさせます」
- 2016年 「エレガントで酸味と果実味のバランスがとれた上品な味わい 」
- 2017年「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい」
- 2018年「理想的な条件の元、素晴らしいヴィンテージへの期待高まる」
- 2019年「バランスのとれた味で、適度な量と高い品質のワイン」
2011年の「21世紀最高の出来栄え」って言いきっているところは意味不明ですが、「今年も美味しいよ、みんな飲んでください」と毎年「当たり年です」と言われている印象があります。
ボジョレーワイン委員会の品質予想はどうでしょうか
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歴代のボジョレーワイン委員会の品質予想
2002年から2019年までのボジョレーワイン委員会の品質予想を一覧にしました。
- 2002年「色付きが良く、しっかりとしたボディ」
- 2003年「並外れて素晴らしい年」
- 2004年「生産者の実力が表れる年」
- 2005年「59年や64年、76年のように偉大な年の一つ」
- 2006年「とてもうまくいった年」
- 2007年「果実味が豊かでエレガント」
- 2008年「フルーツ、フルーツ、フルーツ」
- 2009年「数量は少なく、完璧な品質。桁外れに素晴らしい年」
- 2010年「果実味豊かで、滑らかでバランスの取れた」
- 2011年「3年連続で、偉大な品質となった」
- 2012年「心地よく、偉大な繊細さと複雑味のある香りを持ち合わせた」
- 2013年「繊細でしっかりとした骨格。美しく複雑なアロマ」
- 2014年「エレガントで味わい深く、とてもバランスがよい」
- 2015年「記憶に残る素晴らしい出来栄え」
- 2016年「エレガントで、魅惑的なワイン」
- 2018年「しっかりとして味わい深く、同時になめらかで複雑」
- 2019年「有望だが、生産者のテクニックが重要な年」
日本のキャッチコピーに比べて地味な印象ですが、その年の新酒予想に「記憶に残る素晴らしい出来栄え」「エレガントで魅惑的なワイン」と表現することに、ちょっと言いすぎだなあと思いました。
2008年「フルーツ、フルーツ、フルーツ」はそれに比べたら実にユニーク。
まとめ
今年はどんなキャッチコピーになるのか、なんだか楽しみになってきました。
きっと今頃、関係者の皆さんは「どんなコピーにしたらいいのか」頭を悩ませているでしょうが、これもある種風物化しているので、面白いキャッチコピーを期待しています。
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