
ボジョレー・ヌーボーは、どこで造られているのかというとフランスのボジョレー地区です、といってもどんなところなのか、ボジョレー地区の地理や品種などについて紹介しましょう。この地区にはとっても美味しいワインができるんです。
ボジョレー地区はどんなところ?
ボジョレー・ヌーボーが生まれるのは、フランスのブルゴーニュ地方の南にあるボジョレー(Beaujolais)地区。
具体的には、マコネー地区南部のマコンから、フランス第3の都市で食通の街リヨンの北まで約55kmに広がる地域で、古代ローマ時代からワインを造り続けてきた長い歴史があります。
ところで、どんな気候と土壌でワインができるのでしょうか。
気候
ボジョレー地区は、年間平均気温が11.5度とブルゴーニュ地方の中では温暖です。寒暖の差が激しい大陸性気候に属していますが、夏は日差しが強く乾燥した日が続く地中海性気候の影響も受けています。
一方で、世界的な気候変動からボジョレーでも平均気温は上昇しています。
北部と南部に分かれた地形
ボジョレー地区は北部と南部に地形が分かれます。
北部は花崗岩を基盤とした土壌組成の丘陵地帯。ここには、品質の高さから村名を名乗ることができるA.O.C(格付け)10の村があり、それらをクリュ・デュ・ボジョレー(Crus du Beaujolais)と呼びます。
南部は粘土石灰岩と砂岩が中心の土壌で、北部と比べると肥沃な地域。平坦な場所も多く、A.O.Cボジョレーの広い産地となっています。ボジョレー地区では、赤ワインやロゼワインだけではなく、わずかですが白ワインも造られています。
ボジョレー地区で栽培されるブドウ品種のガメイ種
ボジョレー地区で主に栽培されているのが、赤ワイン向けブドウ品種のガメイ。
正式名称はガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブラン(Gamay noir à jus blanc)(白い果汁を持つ黒いガメイ)であり、原種はブルゴーニュ地方ボーヌのガメ村で生まれ、14世紀半ばには栽培されていたという長い歴史があります。
ガメイ種はタンニンが少ないが、ワインの色調は紫色を帯びた明るいルビー色です。香りは華やかで、イチゴやラズベリーなどの赤い果実やバナナのような甘い香りがします。

味わいは果実味を中心に、比較的酸味は強く、タンニンは少ないので、全体として渋みのない、軽やかで飲みやすさが特徴です。ボジョレーヌーボーの香りの一つにバナナの香りを感じるのは、この品種で栽培されているからです。
ボジョレー独特の醸造法マセラシオン・カルボニック
ボジョレー・ヌーボーの香と味の特徴を生み出しているのは、独特の醸造方法マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸潤法)にあります。
ボジョレーでは、ブドウは必ず手摘みで収穫しますが、果皮にキズをつけないように発酵用の密閉タンクに入れます。
タンク内のブドウ自身の重みで果皮が自然に裂けて果汁がたまり、発酵が始まります。そのままタンクに数日間放置すると酵母によりブドウの糖分はアルコールと炭酸ガスに分解、二酸化炭素ガスが充満した中で発酵が続きます。
ワインはブドウをつぶしてから発酵させますが、ブドウをつぶさずにブドウ自身をアルコール発酵させるのでフルーティーで軽い味わいに仕上がるというわけです。
さて、ボジョレー・ヌーボーの他にボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボーもあります。
ワンランク上のボジョレー・ヴィラージュ
この地区でA.O.Cボジョレーを名乗れるのが96の村に対して、格付けA.O.Cボジョレー・ヴィラージュ(Beaujolais Villages)を名乗れるのは、わずかに38の村。
ボジョレー・ヴィラージュは、北部で栽培、醸造されますが、ボジョレーよりも質が高く、アルコール度数も少やや高め、価格も若干高いです。
ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボーは、ボジョレー・ヌーボーよりも深みのある味わい、フランボワーズやイチゴなどの赤い果実の香りをよりはっきり楽しめます。ワイン好きな人は、ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボーをおすすめします。
さてボジョレー地区では、実はゆっくり熟成しながら高品質なワインになる、クリュ・デュ・ボジョレー(Crus du Beaujolais)も造られています
クリュ・デュ・ボジョレは世界的にも高い評価
この地区の北部では、10の村で格付けA.O.Cクリュ・デュ・ボジョレーが造られています。
地形の高低が190メートルから500メートルと差が大きく、ガメイ種が栽培されていますが、この高低差のおかげで味わいが軽やかなタイプからタンニンがしっかりした肉厚のタイプまで、個性のある銘柄のワインが造られているのがとても面白いです。
その中からおすすめのワインを3つ紹介します。
ムーラン・ナ・ヴァン(Moulin à Vent)
クリュ・デュ・ボージョレの中で最も有名な銘柄で、ボジョレーの王様と呼ばれています。キイチゴ、カシス、ブラックチェリーなど赤い果実の風味豊かで、胡椒やカンゾウなどのスパイスの香リも際立ち、醸造年や造り手によっては長く熟成できるタイプもあります。

モルゴン(Morgon)
フルボディの力強い赤ワイン。色調は深みのある赤で、5年ほど熟成するとアンズや桃の香りに樽やスパイスのニュアンスも漂い、熟した果実味と引き締まったタンニンが口いっぱいに広がる厚みのある味わいが特徴です。
フルーリー(Fleurie)
クリュ・デュ・ボジョレーの中で最も女性的なワイン。クリュ・ボジョレーの女王とも言われています。エレガントで洗練されたワインで熟成するにつれ、スパイスのニュアンスを楽しめます。

まとめ
ボジョレー地区は、ボジョレー・ヌーヴォーだけではない、とても個性的なワインを醸造しているフランスを代表するワイン醸造地域です。
ワインが好き、もしくはワインに興味がある人にはとても面白い生産地域だと思いますので、ぜひいろいろ飲んで試してみてください。
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“ボジョレー・ヌーボーの産地、ボジョレー地区はどこ?” への2件のフィードバック