
こんにちは、マダムソムリエです。
一人暮らしを始めた高齢の母親の様子を見るために、一時帰国しました。
パリから母に電話をすると、「右手の指の曲げ伸ばしが痛くて痛くて」、「もうトシだから仕方ないのか、料理もできない」と数ヶ月前から話していたのがとても気になりました。近所のコンビニご飯が頼りだそう、これはマズイなあ。
指のほかにもあちこち不調らしいので、母の毎日をしばらく観察することにしました。
特に心配なのが、指の激痛です。
幸いにも、小学校からの友人で外科医のトモ子に相談したら、スムーズに病名と適切な病院をみつけることができましたので、今回シェアしたと思います。
指の曲げ伸ばしで激痛は”ばね指”だった!?
右手の薬指だけが、伸びたまま固まった状態で曲がらないのです。曲げようとすると、手のひら側の薬指の付け根に激痛が走るそう。
本人は、はじめは神経痛を疑い、もんで温め、効果がないので温湿布をしたとか。それでも指が曲がらない。一体どうしてなのか、さっぱり見当がつかず「トシだから」と半ばあきらめていたそうです。
私が母の指を見ても、ピンと不自然に伸びきっています。
そこで、小学校からの友人で外科医のトモ子に相談、「やっぱり高齢だから指が曲がらなくなったのかな」と彼女にきいてみました。
するとすかさず、トモ子は「多分、ばね指だね。年齢には関係ないけど女性の患者さんによくみるよ」と教えてくれたのですが、「ばね指?なにそれ」と、私は今まで聞いたことのない病名に、ちょっとびっくり!
そこで”ばね指”について詳しく聞いてみました。
ばね指とは腱鞘炎のこと
友人、トモ子の説明によれば・・
ばね指は、指を曲げるための「腱」と、「腱鞘」という腱のまわりの組織との間に炎症が起こることが原因の腱鞘炎。
指をよく使う人がかかりやすく、患者さんの8割が女性で、平均すると50歳代の人が多いけど、最近は仕事でパソコンを長時間使う人にも多いよ。
なるほど、ばね指は腱鞘炎の一種で、一般に女性は、「事務仕事が多く家事もこなすから指にかかる負担が大きい」ということがわかりました。
「近所の整形外科でおばさんをみてもらったら?」
トモコのアドバイス通り病院を探したら、整形外科に手の専門外来を常設する病院を見つけてラッキーでした。
では、母のばね指の治療は、実際にどうだったのかを見ていきましょう。
ばね指の治療、まずはステロイド注射
診察の日は、私も付き添いました。一体どんな治療をするのか興味津々でしたし、普段は離れて暮らしているので心配です。
さてその先生は曲がらない指を観察、「曲げてみましょうか」と専用小型分度器をその指に当てながら、痛そうな母を横目になにやら角度をはかっている様子。
で、
「これは、ばね指ですね。注射しましょうね、すぐ終わりますから」と即決はさすが専門医!
診察室で言われたことは、
- 手のひら側の指の付け根にステロイド注射をする
- 患者さんの6割以上の人が数ヶ月で再発
- 副作用のリスクがあるため、注射治療は3回まで
- 注射治療で治らない場合は、簡単な手術(内視鏡手術)になる
母いわく、「指の付け根の注射は目から火が出るほど痛かった」と指を押さえながら話してくれました。
彼女は痛みにはわりと我慢強いけど、私だったらまずは局地麻酔をしてもらわないと泣いちゃうよ(苦笑
ばね指の注射治療後は手術!?
注射治療後の数日間は、ズキズキ痛くて指を曲げるのが怖かった。写真は2日目。医師に言われたように、意識して薬指を曲げようとしている。
さて注射治療から1週間経つと、痛みもなく指の曲げ伸ばしができるようだ。でも経過を見せるために母は病院へ。
が、
「このまま様子を見て、2-3ヶ月過ぎたころに再発したら、そのときは手術しましょうって言われた。」と、母はうなだれて帰ってきました。
まあ、再発するかどうかの心配よりは、少しずつ指を動かしながら毎日の料理や洗濯ができれば大丈夫よ、と励ましてみましたが。
まとめ
母のばね指の経過をまとめると・・
- ばね指は、手をよく使う人がかかりやすい指の腱鞘炎のこと。
- 母の場合は、曲げ伸ばしが痛くてできない。
- なるべく早く整形外科医の診断を受けたほうがよい。
- 注射治療なら副作用を考えて3回まで。
- 再発したら簡単な手術になる。
とりあえず母は、注射治療を受けてから1ヶ月後にばね指の症状が出るのかどうかをみています。指の曲げ伸ばしに不自由はないので、今のところ毎日の家事はできているようです。
すでに私は、一時帰国からパリに戻っているので、その様子は電話で聞いています。
さてさて今回は、友人トモ子のアドバイスのおかげもありましたが、近所に手を専門にする整形外科医の病院を見つけたこともラッキーでした。
そういう専門医の存在すら知らなかったので、自宅や会社の近くにそういった医療機関があれば安心ですし、適切な治療を早く受けられると思います。
もちろん、ばね指のほかにも手の怪我は多岐にわたるでしょう。
一般社団法人 日本手外科学会では、全国の医療機関や専門医の一覧を公表しています。また手や腕の処置の基本や手外科Q&A が掲載されているので、一度チェックしてみるとよいでしょう。特にちいさなお子さんがいる方は、一読されることをおススメします。