Musée du quai Branly, 37 quai branly 75007 Paris
◎ 開館11:00-19:00 (週末は21:00) 休館 月曜日
◎最寄りの地下鉄:6番線 ビアケム駅(Bir-Hakeim) / RFR C線 ツールエッフェル駅(Tour Eiffel)
こんにちは、マダムソムリエです。
毎月第一日曜日(7月から9月はのぞく)は、パリ市内の美術館が無料で入れる日。この日は家族連れや友達連れの人たちで、どの美術館もいっぱいです。私たちも、「来月はどこの美術館に行こうか」と話し合うのが楽しみです。
さて今回は以前から気になっていたケ・ブランリ美術館に行ってきました。
エッフェル塔に近くセーヌ河沿いにあるので観光スポットとしても人気があります。
ケ・ブランリ美術館の外観
外観がとてもユニークなケ・ブランリ美術館は、2006年にオープン、今年で10年目を迎える新しい美術館です。
建物は、電通本社を手がけたフランス人建築家ジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)が「風景に中に溶け込み、訪れる人に発見されるような建物」をイメージにしながら、大きな透明ガラスの壁で車道・歩道と敷地を仕切りました。建物は黒を基調に赤・オレンジ・紫色の大きさのちがう「カラーボックス」で造られています。
ガラス越しの向こうにエッフェル塔が見えます。
10週年目をかわいくアピールしています。
庭園も興味深いです。景観建築家のジル・クレモン(Gilles Clément)が庭園を設計しました。収蔵作品の故郷の風景に近づけようと、文献調査と現地調査を繰り返しながら庭園を設計したそうです。
うっそうと生い茂るすすきは、大人の背の高さくらいに伸び、パリにいることを忘れさせるような景色です。
池には水生植物が植えられ、その間をかもが泳いでいました。
さてケ・ブランリ美術館は、他の美術館とは異なり、アフリカ、アジア、オセアニアそしてアメリカ大陸の文明や少数民族の文化を紹介しているのが特徴です。お互いの文化がそれぞれ影響しあっていることを表現するために、地域を仕切ることなくひとつの空間で展示しています。
具体的には、民俗資料として扱われてきた仮面、民具、衣装や装飾品などを造形美術の視点から紹介している、まさにエスニック美術の殿堂です。
ケ・ブランリ美術館の常設展示は3500点
美術館に入ると展示スペースまで長くゆるやかな通路を歩きます。これは川をイメージしているそうですが、通路の先へとガイドしているみたいです。
所蔵作品はルーブル美術館に匹敵するほどの30万点でその約1%の3500点が常設展示されています。
巨大な高さのトーテンポール
ナイジェリアの母子像。
シュールな仮面。
顔がゆがんだ仮面たち。いったいどうしてこういう表情にしたのかナゾが深まります。
アマゾンでの装飾品の数々。左は鳥の羽で作ったネックレス。色合いが絶妙です。右側は鳥の骨で作ったネックレス。きっと高位の人が身につけるものなのでしょう。すばらしい手仕事。
中南米ハイチなどで信仰されるブードゥー教の信者たちが作る置物。色が鮮やかでキラキラ感が今風です。
ネパールのお祭りの衣装。キモ可愛い!アニメや映画のキャラクターとして成立しそうです。
ワークショップも大人気
アジアやアフリカで長く植民地政策をとってきたフランスらしく、こういったものを集めて教育や美術的視点から評価するセンスはさすがにうまいなあ、と展示作品を見ながら思いました。
また館内には、クロード・レヴィ=ストロースの名前をつけた劇場があります。彼は民俗学探検記の金字塔「悲しき熱帯」の著者であり、フランス構造主義を築いた人であり、南米やアフリカといった非ヨーロッパ文明に目を向けたフランスの知性を代表する人です。その彼にふさわしく、この劇場では、世界中の文化を紹介するコンサート、演劇やダンスパフォーマンス、シンポジウムなどが開かれています。
子ども向けのアトリエ、ワークショップも大人気だそうです。ケ・ブランリ美術館は、展示物の公開だけではなく、多種多様な世界の文化を私たちに『発信する場』でもあることがよくわかりました。
さて3時間近く作品を見て歩きましたが、余りの面白さに何度も訪れたくなるケ・ブランリ美術館でした。